母 (角川文庫)

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多喜二 言っ ちゃん 三吾 小樽 思っ 末松 多喜 東京 慶義 母さん 多喜郎 行っ 聞い 一一 小説 小林 死ん 明治 書い 近藤 タミ イエス 思い 思う 自分 先生 昭和 学校 帰っ 貧乏 子供 秋田 北海道 気持ち 人間 バイオリン 子供たち 警察 お母さん 入っ 生まれ 商業学校 キリスト 可哀相 言う 知れ 言わ 行く 三浦氏 考え 一人 島田 神さま 共産党 大正 思い出し 小林多喜二 人たち 角川文庫 世の中 知ら 食べ 生き 仕事 わからん タコ部屋 聞か 二人 持っ 言葉 指輪 潮見台 パン屋 一緒 銀行 何度 藤吉 そんな そして 母親 佐藤 一生懸命

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きよう 四月にしては珍しい、あったかい日ですね、今日は。北海道の四月ったら、もっと寒、 いい日だね。 もんですけどね。増毛のほうの山も、はっきり見えて、海もきれいで、 それはそうと、本当にありがたいもんだねえ。わだしはね、再来年は数えで九十にな んですよ。こったら年寄りが、こうしてみんなに、大事に大事にしてもらってねえ。も ( たいない話です。これもみんな、多喜一一があったら死に方ばしたからかも知れないねえ。 そうか、この年になるまでの思い出ば聞いて下さるか。何せ、ずいぶんと長い間のこー るだから、忘れたことやら、うろ覚えのことやら、いろいろあるけど、それでいいのかね、 ふ あんたさん。 章 おおだて 一んだ、わだしはね、秋田の大館の在に生まれてね、そう釈迦内村っていう田舎でね。 がすぐ目の前まで迫ってくる、小さな小さな部落だった。夜、ふくろうがよく鳴いてね、 さび その声が妙に淋しくてねえ。 第一章ふるさと ましけ しやかない

第一章ふるさと 第二章小樽の空 第三章巣立ち 第四章出会い 第五章尾行 第六章多喜二の死 第七章山路越えて あとがき 小林セキ年譜 参考文献並に資料 解説 目次 久保田暁一一三五